ペルソナマーケティングの考え方や事例、メリットデメリットを解説

ペルソナマーケティングの考え方や事例、メリットデメリットを解説

ペルソナマーケティングとは

ペルソナ(Persona)とは心理学的な用語もありますが、マーケティングでは一般的に「架空の人物像」を意味します。商品やサービスを実際に利用する顧客となるような人物像を設定して、それをマーケティング活動に活かしていくことがペルソナマーケティングです。

ペルソナとターゲットとの違い

ペルソナはマーケティング施策の会話の中でターゲットと似て登場することもあり、混同されていることもあります。しかし明確な違いがあります。

ターゲットとは、「性別・年代・住んでいる地域」など属性やセグメントである程度の数をまとめて設定します。広告を出稿する際にリーチさせたい層などを仮定する際に用いられます。

一方ペルソナはもっと具体的に、リアリティのある架空の人物を設定します。その架空の人物がどんなことを考えてどう行動するか、カスタマージャーニーを考える際などに使われます。ターゲットに比べて、よりリアリティのある顧客像がペルソナなのです。ペルソナがあることによってそのペルソナに近いユーザーに共感してもらえる施策を生み出す助けとなります。

ペルソナの設定方法

ペルソナを設定する際にはできるだけ具体的にすると、人物像が見えてきます。商品やサービスを利用する最もコアとなりそうな人物像を架空に作り上げます。

ペルソナの設定事例
・名前(仮名でOK)
・年齢(年代ではなく具体的に決める)
・性別
・居住地
・持ち家または賃貸か
・家族構成
・学歴
・職業/役職
・年収/可処分所得
・好きなことや趣味
・日常の悩みや課題
・主に情報を得る方法
・ソーシャルメディア利用状況

架空の人物像を深く掘っていくと、あらゆる設定が思い浮かびます。ターゲットのようにざっくり束ねた概念で顧客を設定しないので、思考や行動パターンを想像しやすくなります。

単なる思い付きで設定するのではなく、自社の購買データや国の統計データなどをもとに論理的に組み立てていくとミスマッチが防げます。

ペルソナマーケティングのメリット

ここまで細かく設定するペルソナマーケティングのメリットについてまとめます。

顧客像が明確になり共通認識を持ちやすい

ペルソナマーケティングによって、商品やサービスの顧客像をよりはっきりとした共通認識とすることができます。ひとつのプロジェクトをチーム内でバラバラの顧客像で進めるには、認識違いが生まれてしまいます。例えば「30代女性」とひとまとめにターゲットを定めても、人によってあらゆる「30代女性」が思い浮かびます。

ペルソナをしっかり設定しておくことで、商品やサービスがどんな人向けに作られて届けられるのか、具体的に同じ方向を向いて戦略を考えられるようになります。メンバーそれぞれの主観や好き嫌いではなく、「ペルソナだったらどう感じるか」を基準にできるため判断しやすくなります。

カスタマージャーニーを考えやすい

ペルソナが設定されていることにより、顧客がどのように商品やサービスを知り購入したいと考えるのか、どの場所で購入してリピートさせるにはどうしたらいいかなど、カスタマージャーニーを具体的に考えやすくなります。

単なる「30代女性」というターゲットではなく、「こんな趣味の人でこれくらいの可処分所得があるペルソナならこう思うだろう」と態度変容をペルソナならば容易に想像がつきやすいためです。

このようにペルソナマーケティングは、マーケティング活動の精度を高めてくれます。近年ではマーケティングオートメーションやパーソナライズ化によって、「ペルソナマーケティングは古い」という意見も耳にするようになりました。

しかし基本的な考え方としてペルソナを設定し、架空の顧客像の理解を深めていくことはまだまだ重要なプロセスだといえます。

ペルソナマーケティングの注意点

ペルソナマーケティングにはメリットがある一方で、デメリットともいうべき注意点もあります。施策がペルソナの失敗例とならないように、事前に確認しておきましょう。

定期的にペルソナを練り直す

ペルソナが本当に商品やサービスに適したものであるか、定期的に練り直していきましょう。顧客像が狭くなりすぎてしまうと、思わぬ顧客の取りこぼしに気がつかずにそのままマーケティング施策を進めてしまいかねないためです。

例えば「都内で一般事務をしているダイエットや美容に関心の高い25歳の女性」をペルソナに設定し置き換えダイエット食品を販売していたところ、実際の購買データを見ると「小食で健康志向の高い60代女性」を中心に人気を集めるなども可能性として考えられます。

この場合は大きく異なる複数のニーズがあるということで、ペルソナを複数設定することも考慮します。

ペルソナはあくまでも仮説であるため、認知獲得から購買までのデータをもとに定期的に練り直していくと施策の軌道修正や販路拡大につなげることができます。

不必要な設定を入れない

ペルソナを設定するときに具体的に人物が想像できることが良いと前述しましたが、あくまで顧客となりうる条件となります。必要のない細かな設定を行うことで、ペルソナがぼやけてしまうためです。

例えばプロフェッショナル用のバドミントンラケットのペルソナを考える際に、「ユーザーにペットがいるかどうか」を設定することはあまり意味がないですよね。日常の練習時間の長さや競技場までの移動手段など、関連した情報をまとめるようにします。

ペルソナマーケティングでは、該当する商品やサービスに関連した顧客像をとらえる上で有益な設定を行います。

ペルソナマーケティングの成功事例

企業がペルソナを設定して売る仕組みを作っていくことはあまり公開されている情報ではありませんが、いくつか事例を集めてみます。

カルビー「じゃがビー」

ペルソナマーケティングの有名な成功事例に、カルビーが2006年に発売したスナック菓子「じゃがビー」の話があります。

スナック菓子とは縁が遠そうな「27歳の独身女性で文京区に暮らしていて、ヨガとスポーツが好き」というペルソナが設定されました。「その女性ならばどんなパッケージの商品を好むか」「CMにどんな人物が登場したら身近に感じてもらえるか」など考えられました。

結果じゃがビーは他のポテトスナックとは差別化も成功し、15年以上愛される大ヒット商品となっています。

Soup Stock Tokyo

ペルソナの話でよく話題にあがるのが、Soup Stock Tokyoの「秋野つゆさん」の話です。

「37歳で都内で働くバリバリのキャリアウーマン、フォアグラよりもレバ焼きが好き」などユニークな設定が話題となりました。

その後のインタビュー記事では「秋野つゆさんは顧客像ではなくSoup Stock Tokyoのブランドそのものを表した人物像」であると語られましたが、この具体的な人物像が創業時の顧客とのコミュニケーションに役立ち、高いブランドイメージにつながったといえます。

自社のペルソナを設定してより高度なマーケティングを行う

この記事で紹介してきたように、ペルソナはターゲットとは違い具体的な顧客像を設定することがマーケティング施策を成功させる鍵です。自社の商品やサービスに最も共感してくれるコアとなるリアルなペルソナが定まれば、カスタマージャーニーをイメージしやすくなります。またチームメンバー同士の認識を合わせることにもつながります。

ペルソナを通して高度なマーケティングを行い、さらなる新規顧客の獲得やロイヤリティ顧客の育成にぜひ役立ててくださいね。

 

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