サブスクリプションビジネスとは
サブスクリプションとは、もともとは新聞や雑誌の「定期購読」「継続購入」を意味していました。ECサイトやオンラインサービスが日常に普及した現代では、商品やサービスを定期的に購入したり更新したりするのが前提のビジネスを広義で「サブスクリプションビジネス」と呼ぶようになりました。
「定額制」「継続課金」「定額課金」「定期購入」などもサブスクリプションと類似して呼ばれます。
サブスクリプションビジネスの事例
サブスクリプションビジネスは、日常生活で必要とするあらゆる商品やサービスで提供されています。
音楽配信サービスの「Spotify」や「Apple Music」、動画配信サービスの「Netflix」や「Amazon Prime」はなどのエンターテイメント業界で最も成功したサブスクリプションビジネスの代名詞です。作品ごとに購入またはレンタルするよりもはるかに低コストで、自由に好きな作品を楽しめます。
オンラインショップにおいても定期購入は定番化しています。AmazonはECサイトの機能「定期便」が多くのユーザーから支持され、自社ECサイトでも「毎月届く」「2カ月に一度届く」などの利便性を訴求し、日用品や化粧品、サプリメントや食品、ペットフードなどの消費財で多くみられます。
ファッション業界においても洋服のレンタルサービスとして、プロのスタイリストが自分に合わせた洋服を選んでくれる「airCloset(エアークローゼット)」や、自分で好きなアイテムを選べる「MECHAKARI(メチャカリ)」など人気があります。
また購入にはまとまった資金が必要な自動車業界においてもサブスクリプションビジネスは多数導入され、トヨタブループが提供する「KINTO(キント)」、中古車販売店ガリバーが提供する「NOREL(ノレル)」などがあります。
長期出張など一時的な滞在にも便利な家具や家電のサブスクリプションとして、「CLAS(クラス)」や「Rentio(レンティオ)」なども提供されています。
このようにあらゆる業界やビジネスでサブスクリプションモデルが導入されています。
BtoBビジネスでも広く導入
BtoCだけではなくBtoBビジネスでは、マイクロソフトが提供する「Office365」やアドビが提供する「Adobe Creative Cloud」など、パッケージ買取型ではない月額課金や年間課金のクラウドサービスが一般化しています。
「まずはサービスを試してみたい」というニーズにも対応でき、ビジネス規模に合わせて柔軟にアップグレードやダウングレードしたりできます。
サブスクリプションを導入するメリット
サブスクリプションビジネスを導入するメリットは、事業者にとってさまざまなメリットがあります。
売り上げや収益の予想が立てやすい
サブスクリプションは単なる予約購入ではなく、長期的な売り上げと収益の予想を立てることができます。オンラインストアなどでは運営において重要な、在庫数の管理や発注の予測にも役立ちます。
ビジネスにとって致命的となる、売り上げや利益予想の大きな乖離や過剰在庫などを防げます。
LTV(Life Time Value)を最大化
サブスクリプションはLTV(Life Time Value)、つまり顧客生涯価値を最大化させます。継続購入してくれるリピーターを獲得することで、新規顧客を獲得するよりもはるかに効率よく購入頻度を上げることができます。
事業者にとって顧客獲得のための広告費は大きな課題ですが、サブスクリプションモデルで顧客の定着率を高め、アップセルやクロスセルの機会も作り続けることができ、ビジネスの成長に貢献します。
実績データを蓄積できる
サブスクリプションによる購買データや利用実績データが毎月蓄積されていくことで、「どんなユーザーに解約されてしまいやすいのか」「どんなキャンペーンがアップセルやクロスセルにつながりやすいか」などのデータを自社で蓄積できます。
サービスへの課題を客観的に把握しやすく、PDCAをまわして改善につなげることができます。戦略的にビジネス改善しやすくなるメリットがあります。
利用者のメリットも高い
サブスクリプションモデルによるビジネスが広まっている理由は、事業者側の目線だけでなく利用者側のメリットも多くあることがあげられます。
サブスクリプションだからこその割安感
商品購入などでは定期購入によって一定の割引率が適用されたり送料無料となる例が多く、利用者側にとって「お得感」を感じられ買い忘れも防げます。
またオンラインサービスやレンタルサービスでは、月額にすると一度に購入するよりも低コストで続けられる「割安感」があります。例えば車や家電のように所有するにはコストがかかるものもサブスクリプションのレンタルサービスを利用すれば、まとまった初期費用がなくても利用できます。そもそもその商品を購入するべきかどうか大きく悩まなくても、少額で「まずは使ってみる」という選択肢が広がります。
利用した都度に支払うレンタルサービスよりも、サブスクリプション契約しているからこそ割安な費用で多くのユーザーメリットを享受できます。
無駄な出費を抑えられる
サブスクリプションサービスはTPOなどにあわせて必要に応じて試せるので、無駄な出費を抑えられるメリットもあります。
例えば洋服のサブスクリプションでは結婚式用のドレスや夏の浴衣など、着る回数が限られている洋服も選べるサービスがあります。実際に着用して気に入った洋服をそのまま買い取れるサービスもあります。
「1回しか着なくてタンスの肥やしになってしまった」「買ってみたのに似合わなかった」などの無駄な購入を防げます。トレンド性が高い商品もサブスクリプションならばと試すハードルを下げてくれます。
これらのようにサブスクリプションビジネスを導入することで、事業者側と利用者側双方のメリットがあるのです。
サブスクリプションビジネスにおける課題
サブスクリプションモデルをビジネスに導入する際には、課題や注意点もあります。先ほど紹介した利用者メリットの特性上、ビジネスにおけるデメリットとなる課題点も確認しておきましょう。
サービス導入時の利益が少ない
利用者側にとって割安感のあるサブスクリプションモデルは、事業者側からすると月額の更新を何度も重ねて利益を獲得できることが多いため、サービス導入時や利用するユーザー数が少ない場合に大きな収益はあまり見込めません。
目標とする顧客獲得までの広告費や運営費など、初期投資としてある程度の資金や運営体制が必要となります。サービス導入を検討する際には、損益分岐点を事前に見積もり計算して確認しておく必要があります。
常に改善が求められる
ユーザーはサブスクリプション契約している商品やサービスに飽きた場合、いつでも解約してしまいます。購買データや利用実績データを常にレビューし、課題があれば常に改善をして顧客満足度を上げていくことが求められます。
毎月継続している利用者を飽きさせない、商品やサービスのクオリティ維持や向上が期待されているのです。
サブスクリプションモデルをビジネスに導入しよう
今やあらゆる業界で提供されるサービスの定番になりつつあるのがサブスクリプションです。サブスクリプションモデルをビジネスに導入することで、事業者側は長期的な売り上げと収益につながる継続顧客を獲得し、利用者側は割安感やのメリットをもたらします。
まだサブスクリプションを導入していない業界においても、市場開拓の大きなチャンスです。自社の商品やサービスで導入する事業者側と利用者側のメリットを整理し、ぜひ検討してみてください。
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