BtoBマーケティングとは?BtoCとの違いや手法、役立つツール

BtoBマーケティングとは?BtoCとの違いや手法、役立つツール

BtoBマーケティングとは?

BtoB(Business to Business)マーケティングとは、法人が法人に対してマーケティングをすることです。企業向けの製品やサービスを扱うビジネスモデルで、次のような商材があります。

【BtoBマーケティングの商材一例】
・CRMやBIなどのソフトウェア
・事業で使うシステムの構築
・飲食店向けの食材
・工業製品の部品
・オフィス家具 など

 BtoCマーケティングとの違い

法人が法人にマーケティングをするBtoBに対し、個人の消費者をターゲットにするのが「BtoC(Business to Customer)」です。BtoCにはコンビニエンスストアやスーパーマーケット、ホテル、エンタメ系などさまざまなものがあり、プライベートで使う身近な商品・サービスがこれにあたります。

扱う商材以外にも、BtoBとは次のような違いがあります。

【BtoBとBtoCの違い】

BtoBBtoC
ターゲット企業個人
動く金額高額低額
決裁権複雑単純
市場小さい大きい

BtoCはBtoBと比べて、基本的に動く金額が少なく、代わりにターゲット数は多いです。最も大きな違いは「決裁権」にあるといえ、BtoCでは夫婦のどちらかが購入を決めるキーマンなことがほとんどでしょう。

BtoBの決裁権は複雑で、「購買担当者→担当者の上司→役員→社長」のように、提案を少しずつ上に持っていってもらうイメージです。担当者やその上司が部分的な決裁権を持っていて、提案がすぐ通ることもありますが、たいていの場合は「稟議(上役に承認を取るための手続き)」が必要です。

 BtoBマーケティングが注目される理由

近年、BtoBマーケティングの重要性が高まっています。以前は営業担当者が企業にアプローチをかけるのが一般的で、取引は「個人の営業担当者への信頼感・好感度」で決まることが多かったです。取引先がほぼ固定されていて、新規で入り込むのは難しい、という時代を生きた営業職も多いでしょう。

しかし、インターネットが普及し、顧客が主体的に情報を集められるようになった現代では、優秀な個人に頼りきりの営業は立ち行かなくなりました。

顧客はより自社に合った製品を、より安く提供している会社を探しています。このような顧客を見つけ、自社のことを知ってもらい、選んでもらわなければ生き残れない時代です。

いわゆる「法人営業」がなくなることはないでしょうが、インターネットや口コミを使った「BtoBマーケティング」の重要性は高まる一方でしょう。

【5ステップ】BtoBマーケティングの進め方

BtoBはBtoCに比べ、マーケティングの流れ全体の中で、見込み客を育成したり選別したりの比重が大きいです。動く金額が大きく決裁権も複雑なBtoBでは、見込み客を丁寧に育成し、適切なタイミングでアプローチしなければなりません。

BtoBマーケティングの進め方を、5つのステップに分けて解説します。各ステップで何をすべきかも紹介するので、取り組めそうなことからはじめてみましょう。

【BtoBマーケティングの進め方】
STEP1.見込み客の獲得(リードジェネレーション)
STEP2.見込み客の育成(リードナーチャリング)
STEP3.見込み客の選別(リードクオリフィケーション)
STEP4.商談・成約
STEP5.リテンション・ロイヤルカスタマーの育成

 STEP1.見込み客の獲得(リードジェネレーション)

BtoBマーケティングの最初のステップは、「見込み客の獲得(リードジェネレーション)」です。簡単にいえば集客のことで、自社の製品やサービスに対してニーズを抱えている企業を探し、まずは自社を知ってもらいます。

顕在的・潜在的なニーズを抱えている企業に自社を知ってもらい、自社の見込み客になってもらうための手法に、次のようなものがあります。

【見込み客獲得のための手法】
SNSの公式アカウントの運用
オウンドメディアやYouTubeによる情報発信
・テレアポや飛び込み営業
・取引先からの紹介 など

色のついたものはインターネットを使って行うもので、主に検索を通して、顕在的なニーズに訴えかけます。例えば「CRM おすすめ」と検索する企業は、どのCRMを導入しようか迷っていたり、既存のものが使いにくくて乗り換えようと考えていたりするはずです。

 STEP2.見込み客の育成(リードナーチャリング)

見込み客を獲得したら、自社の商品やサービスの必要性に気付いてもらうために育成・教育をしなくてはなりません。これを「リードナーチャリング」といいます。

BtoBは動く金額が大きいうえ、担当者の一存で購買を決められません。下手なものを選んでは、担当者の責任が問われてしまうでしょう。

だからこそ、担当者もたくさんの競合を慎重に比較します。まずはその商品やサービスに関する知識をつけてもらい、候補をフラットな目線で比較できるようになってもらわなければなりません。上司や役員に製品を提案してもらうときにも、それなりの知識が求められます。

 STEP3.見込み客の選別(リードクオリフィケーション)

リードジェネレーションと並行して進めるのが、見込み客のランク付けと選別です。これを「リードクオリフィケーション」といいます。

一人ひとりの行動や接点履歴から、購買確度をスコアリングし、見込み客をランク分けします。ランクの低い見込み客にはオウンドメディアやメルマガを通した育成が必要ですし、ランクの高い見込み客には適切なタイミングでアプローチをかけなければなりません。

なお、見込み客のスコアリングやランク分け、ランクに応じたステップメールの配信などには「MA(マーケティングオートメーション)ツール」を使います。

 STEP4.商談・成約

見込み客一人ひとりをスコアリングしたら、高ランクの見込み客にアプローチをかけましょう。電話やメールでアポイントを取り、商談を取り付けることもありますが、説明会やセミナーに招待したり、お試しプランを使ってもらったりといった方法もあります。

問い合わせ窓口の強化やオウンドメディアでの説明会案内など、見込み客が起こしたアクションを成約につなげる工夫も必要です。

 STEP5.リテンション・ロイヤルカスタマーの育成

マーケティングにおいて、成約はゴールではありません。成約後の顧客にはリテンション(関係を構築したり維持したりするためのアプローチ)をしたり、ロイヤルカスタマーとして育成したりします。

マーケティングの世界には「1:5の法則」という言葉があり、これは「同じ金額を販売する場合、新規顧客には既存顧客の5倍のコストがかかる」ことを意味します。コストを抑えて利益を増やすには、既存顧客のアップセル(より高額な商品やプランへの乗り換え)やクロスセル(セット購買)を狙うべきです。

自社のファンともいえる「ロイヤルカスタマー」は、他社と比較することなく自社を選んでくれるかもしれませんし、SNSや口コミサイトで自社の良い評判を流してくれるかもしれません。

ロイヤルカスタマーを育てる方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。販売やマーケティングのコストを上手く削減できていない方は、記事で紹介している方法をぜひ取り入れてみてください。

これからのマーケティングで、「顧客ロイヤルティ」が重要な理由

BtoBマーケティングの手法

BtoBマーケティングで見込み客を獲得したり、ロイヤルカスタマーを育成したりする手法には、次のようなものがあります。メリットとデメリットを見比べ、自社でネックになっているプロセスを解消できるものを選びましょう。

手法内容メリットデメリット
広告運用コンテンツマーケティングオウンドメディアやYouTubeなどでの情報発信コンテンツを資本として蓄積できる かかる労力が大きく、SEOやコピーライティングなどのスキルも必要
イベントマーケティングセミナーや展示会などで顧客と直接コミュニケーションを取る一度に大量の顧客と密にやりとりできるイベントへの集客が必要 
ホワイトペーパーオウンドメディアからダウンロードできる資料(ホワイトペーパー)で、確度の高い顧客にアプローチする見込み度の高いユーザーを効率よく育成できるオウンドメディアへの集客が必要

特におすすめなのが、やりかた次第でほぼすべてのプロセスに活用できる「メールマーケティング」という手法です。こちらの記事ではメールを使って見込み客の確度を高めたり、ロイヤルカスタマーを育成したりするにはどうすればいいのか、目的別に解説しています。

メールマーケティングとは?目的別のやり方やコスト削減のコツ、用語を解説
「メール マーケティング」への内部リンクをお願いします。

BtoBマーケティングでは、カスタマーサクセスが重要

BtoBマーケティングで重要になる考え方が、「カスタマーサクセス」です。直訳で「顧客の成功」となるカスタマーサクセスは、顧客のニーズをただ満たすだけでは実現できません。顧客が何を求めているか、どうすれば成功するかを考え、能動的に働きかけることが大切です。

具体的には問い合わせの窓口強化やナレッジ蓄積、ナレッジを活かした伴走支援などの方法があります。

カスタマーサクセスをいきなり実現させるのは、コストの面からもノウハウの面からも難しいかもしれません。まずは、「顧客の成功や成長のために何ができるか」をトップ層が考え、企業としてのビジョンを打ち出しましょう。

ビジョンを現場スタッフに共有するのはもちろん、社内報や社内SNSなどで定期的な情報発信を心がけてください。そうするうちに、組織全体にカスタマーサクセスの意識が浸透するでしょう。

 

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