KPI・KGIとは
KPIとは英語で「Key Performance Indicator」を略したものです。日本語では「重要業績評価指標」を意味します。簡単に言うと、「目標達成するための活動指標」です。主観的であいまいな指標ではなく、具体的な数値データで測定でき客観的にも評価できるものを設定します。
KGIとは英語で「Key Goal Indicator」を略したものです。日本語では「重要目標達成指標」を意味します。イメージしやすい言葉にすると「最終的な経営目標」です。KGIもKPIと同じように、具体的な数字で客観的に評価できるもので設定されます。
KPIとKGIの違い
KPIはKGIを達成するための中間指標となります。順番としては先にKGIを決めてからKPIを設定し、さらに具体的なアクションに落とし込んでいきます。
KPIとKGIを混同したり、KGIが後付けになったりしてしまわないようにしましょう。つまりKGIは最終的なゴールで、KPIはそのゴールに到達するまでの具体的な達成度(指標)を表します。
KSFとは
KPIやKGIと似た言葉に、KSF「Key Success Factor」があります。日本語では「重要成功要因」を意味し、事業を成功させるために必要な要因を指します。
KSFは外部要因と内部要因を整理して考えます。外部要因とは業界や市場の動向、競合企業の参入や撤退などがあげられます。内部要因とは、KGI達成に必要な要因や自社の強みなどです。外部要因と内部要因をしっかりと区別し、外部要因に備えて内部で準備していきます。
例えば新型コロナウイルスの蔓延によって、リモートワークやオンライン会議が定番化しました。それに伴い、在宅で長時間座っても苦にならないゲーミングチェアやディスプレイの売り上げが増加しました。このように新型コロナウイルスという外部要因がKSFとなったと事例といえます。
KSFと同じような意味でCSF「Critical Success Factor」も使われます。どちらもビジネス成功の重要な要因を示します。
OKRとは
KPIと同じように使われる目標設定のフレームワークとして、「OKR」があります。OKRとは「Objectives and Key Results」の略称で、日本語で「達成すべき目標と達成のための主要な成果」を意味します。
KPIは部署ごとで細かく設定されることもありますが、OKRは会社全体で取り組むべきものとなることが一般的です。さらにKPIは必ず定量的であるのに対し、OKRは定量的のみならず定性的でも成り立ち、社員のモチベーション維持などにも利用されます。Google社やFacebook社が採用しています。
KPIとKGIの事例
KPIとKGIの事例として、あるアパレルECサイトに想定して考えてみましょう。
KGIの事例:半年以内に月商1,000万円を売り上げる
上記のKGIを達成するために設定するKPIの事例:
・ECサイトに訪問する新規ユーザー数を月に10,000人獲得する
・1回の購入あたりの客単価を10,000円にする
・初回購入から1か月以内に50%のユーザーが2回目の購入をする
「半年以内に月商1,000万円を売り上げる」というKGIに対して、例えば現状の売り上げが月商800万円だったと仮定します。到達していない200万円を埋めるためには具体的にどんな指標が重要になるのか、自社のECサイトのビジネスモデルや商品特性、顧客像に合わせて関連性の高いものを優先してKPIを設定します。
単なる行動目標はKPIに入らない
KPIを仮に上記のようにユニークユーザー数・客単価・リピート率に設定した場合、現状の数値と照らして進捗を管理します。達成していない指標があれば、具体的なアクションや施策を考えます。
KPIには入らない行動目標の事例
・ユーザー数:ソーシャルメディアに広告を出す
・客単価:お得感のあるセット商品でキャンペーンを行う
・リピート率:初回購入後に3か月以内で使えるクーポンを発行する
このような施策を具体的にどれくらい実施したかどうか、例えば「今月3本のキャンペーンを行う」や「毎日ソーシャルメディアに投稿する」などの行動目標は一般的にKPIには入りません。あくまでKPIはそれらの行動や施策によって得られた結果である業績指標を指すのです。
KPIの設定方法
それではKPIを設定するための方法や注意点についても確認しておきましょう。
KPIを設定するために大切な「SMART」
KPIを設定する方法としてよく用いられる「SMART(スマート)」というKPI設定モデルがあります。それぞれの英単語の頭文字をとってこのように呼ばれます。
・Specific(具体的である)
・Measurable(計測可能である)
・Achievable(達成可能である)
・Relevant(関連している)
・Time-bounded(期限が定められている)
上記の「SMART」に該当しない例として、「抽象的で計測できない」「目標が高すぎて実現できそうにもない」「KGIに関連しない」「期間があいまい」などがあげられます。
「SMART」に該当しないKPIは設定してしまうと、その後のKPI管理が大変難しくKGI達成のために意味を持たないものになってしまいます。
「SMART」モデルはKPI設定の際にはルールとして、必ず確認して適切なものを導きましょう。
KPIは関わる人すべてが認識できるものに
KPIは企業や組織に関わる個人個人によって、バラつきやブレが発生する指標にならないように注意しましょう。KPIの数値はどこから導かれるものなのか、何を意味しているのかも明確にします。
例えば先ほど用いたKPIの事例をあげます。
KPIに対する共通認識の例
・新規のユニークユーザー数→GA(Google Analytics)で計測する人数
・客単価→消費税を含まない、1回の購入単価
・リピート率→初回購入から同じユーザーが1か月以内に購入した割合
同じ会社内であっても部署によって違う指標を見ていないか確認しておきましょう。数値が明確になることで、前年比や前月比など事業進捗の変化もチェックできます。
KPIツリーとは
KPIとKGIを設定する際に、「KPIツリー」を一緒に作成する方法もあります。KPIツリーとは、KGI達成に必要な要素であるKPIを段階的にロジックツリー(木)の枝葉のように設置した図のことです。
それぞれの枝葉の末端にあるKPIから達成していくことで、中間のKPIや根源となる最終目標のKGI達成を目指します。
KPIツリーはKGIとKPI、大きなKPIとそれぞれに紐づく細かなKPIの関連性を明確にすることができます。ただし追う必要のないような細かいKPIをたくさん洗い出して、管理できなくなってしまわないようにしましょう。
KPIとKGIを明確にし組織や事業を成長させよう
この記事ではビジネスシーンでよく使われる「KPI」と「KGI」の違いやそれぞれの設定方法、同じようなシーンで使われる指標について説明しました。
KPI・KGIともに企業や組織が同じ方向を向き、関係者からの協力を得ながらチームで効率よく目標を達成していく上で、大変重要な考え方となります。
それぞれのKPI・KGI設定を意味のあるものにし、会社や組織の目指すものを確実に達成していきましょう。
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