クラウドファンディングとは
クラウドファンディング(crowdfunding)とは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、「インターネットを通して不特定多数の人々から少額ずつ資金を募る」サービスや仕組みを意味します。モノやサービスを購入する「購入型」、支援者がお金を寄付する「寄付型」、「株式投資型」、「融資型」などさまざまな形態があります。
All or Nothing型またはAll In型
購入型や寄付型など多くのクラウドファンディングでは、プロジェクトの期間内に目標金額を達成した場合のみプロジェクトが成立する「All or Nothing型」と、一人でも支援者がいる場合にプロジェクトが成立する「All In型」があります。
例えばAll or Nothing型で目標金額を100万円にした場合、募集期間終了時に99万円で支援が止まってしまい目標金額に足りない場合には、プロジェクトオーナーは1円も支援を受け取ることができません。その一方、All In型は金額が達成しなくても受け取れるメリットがあります。しかしその場合、目標金額に届いていなくても支援者に対してリターンを送付する必要があるほか、結果的にまとまった金額が集まらない可能性もあります。
企業のクラウドファンディング成功例:Canon「PowerShot PICK」
キヤノンマーケティングジャパン株式会社は購入型クラウドファンディングMakuakeで「思い出フォトグラファー。Canonの自動撮影カメラ|PowerShot PICK」と題したプロジェクトを2021年に実施し、4,500人もの支援者から1億6,785万円を集めました。
PowerShot PICKはキヤノンが培ってきた光学技術と映像処理技術を駆使した、自動撮影カメラです。日常生活に溶けこむシンプルなプロダクトデザイン、わかりやすい商品メリットと発想のユニークさ、「子供の写真だけでなく家族一緒の自然な写真を残したい」という人々の共感を呼び、購入型クラウドファンディングの大きな成功例となりました。
テレビ東京のワールドビジネスサテライト(WBS)の「トレンドたまご」コーナーにも取り上げられたりと、話題性もありPR効果も絶大でした。PowerShot PICKへの高いニーズがクラウドファンディングで実証されたことから、正式発売も実現することとなりました。
参考:Makuake
飲食店のクラウドファンディング成功例:串カツ田中
全国展開の串カツチェーン店「串カツ田中」は2020年、新型コロナウイルスによる売上回復のため購入型のクラウドファンディングを「今こそ、串カツで笑顔に!!一緒にコロナを乗り越えましょう!!」と題したプロジェクトをCAMPFIREで実施し、2,118人から38,204,480円もの支援金が集まりました。
支援へのリターンは食事券(3,000円から20,000円)、串カツ全種盛り券、ドリンク定期券、限定オリジナルTシャツだけでなく、串職人の出張串カツパーティや社長・副社長が接待する串カツ田中の貸し切り、また1か月間のネーミングライツが与えられるなどユニークで楽しいリターンが用意されSNSでも話題になりました。
食事券のリターンは3,000円分が2,500円で手に入るなど支援者にとってメリットもあり、大いに拡散し支援が集まった成功例です。ネーミングライツの20,000,000万円はお笑い芸人の宮迫博之さんが購入し、「串カツ宮迫」として1か月間営業されました。
参考:CAMPFIRE
学生のクラウドファンディング成功例:筑波大学箱根駅伝復活プロジェクト
筑波大学陸上競技部男子駅伝を応援する「国立大学本気の挑戦!筑波大学箱根駅伝復活プロジェクト」がREADYFORにて2016年から第6弾まで実施され、総額3,000万円以上の支援金が集まりました。
私立大学のように推薦枠で有力選手を集めるにも限界のある国立大学だからこそ多くの共感を呼び、箱根駅伝という一大イベントを一緒に盛り上げていく寄付要素の高いプロジェクト成功例となりました。
集められた支援金は選手の食住環境整備や遠征などに使われ、支援が集まるごとに陸上部の競技成績も向上している実績も残しています。
プロジェクトのリターンは応援Tシャツやタオルマフラー、選手も参加する決起集会や激励会に参加できる権利などが用意されました。寄付と応援によってチームが育っていくという過程に、お金で買えない価値を提供しているプロジェクトの成功例です。
参考:READYFOR
クラウドファンディング成功例の共通点
成功するクラウドファンディングには、以下のような共通点があります。
・プロジェクト内容がわかりやすい
・共感を生むページである
・支援金額とリターンの設定が適切である
・目標金額が適切である
・類似プロジェクトと差別化されている
・ソーシャルメディアなどで露出している
クラウドファンディングを通して何を達成したいのかがわかりやすく、支援したくなる共感を生むプロジェクトページが成功のカギです。画像や動画を掲載したり、プロジェクトの進捗もこまめに報告することをおすすめします。
また購入型クラウドファンディングの場合はリターンとなる商品や体験が魅力的であり、支援金額に対して妥当なものに設定しましょう。「先着10名限定」など早期割引の特典を設けることで、プロジェクトスタートからまとまった支援を集めることも効果的です。
また目標金額を達成した場合でも、「ネクストゴール」や「ストレッチゴール」などの新たな目標を設定することでさらなる支援増加にも期待ができます。なぜその追加支援が必要なのか説得力のあるものを記載しましょう。
プロジェクトページを作れば達成できるものではない
特にCAMPFIREやREADYFOR、Makuakeなど案件数の多い大手クラウドファンディングの場合は類似プロジェクトに埋もれてしまう可能性もあります。競合となりうる他のプロジェクトページをあらかじめ分析することで、自分のプロジェクトの差別ポイントをアピールするとよいでしょう。
またTwitter、Facebook、Instagramなどのソーシャルメディアで集客することも忘れずに行いましょう。クラファンサイトに掲載されているだけのただ待っている状態では、人々の目にとまることなく募集期間を過ぎてしまうこともあります。
賛同してくれそうな人が集まっているSNSでの拡散や応援コメントなどは、支援者とのコミュニケーションツールとしても使えます。またリアルな友人や知人からの支援も、プロジェクト達成に大きく貢献してくれるはずです。
クラウドファンディングの成功例から学ぼう
この記事ではクラウドファンディングの概要や、成功例として企業・飲食店・学生の成功例をそれぞれ紹介しました。プロジェクトを成功させるためのコツや成功例の共通点についてもまとめたので、自分のプロジェクトにも生かせるはずです。わかりやすいプロジェクトになっているか、共感を呼ぶ要素がきちんと説明されているか、今一度確認してみてくださいね。
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