市場理解に役立つフレームワーク
マーケティングで最も重要なのは、「マーケティングをはじめる前」かもしれません。戦略を立て、分析しながら施策を改善し続けていくことがマーケティングの基本です。
しかし、すべての「前提」が間違っていたらどうなるでしょう。的外れな施策でリソースを浪費し、深く分析するまでそれに気付けないはずです。
マーケティングの前提を考えるためには、市場を理解しなければなりません。市場理解に役立つ3つのフレームワークを紹介します。
【市場理解に役立つフレームワーク】
・STP分析
・PEST分析
・ファイブフォース分析
STP分析
市場理解に役立つ1つ目のフレームワークは、「STP分析」です。マーケティングを行う市場はどうなっているのか、市場の中で自社はどんな立ち位置なのかを、次の3要素から分析します。この3要素の頭文字を取って、「STP分析」と呼ばれています。
【STP分析の3要素】
Segmentation(セグメンテーション):市場の細分化
Targeting(ターゲティング):どの市場をターゲットにするか
Positioning(ポジショニング):自社の立ち位置
PEST分析
市場理解に役立つ2つ目のフレームワークは、「PEST(ペスト)分析」です。自社ではコントロール不能な「世の中の大きな流れ」を分析し、マーケティング戦略を立案します。PESTはそれぞれ次の単語の頭文字です。
【PESTとは?】
Politics:政治
Economy:経済
Society:社会
Technology:技術
ファイブフォース分析
市場理解に役立つ3つ目のフレームワークは、「ファイブフォース分析」です。ほかの分析手法と異なり、5つの「脅威」に注目するフレームワークで、自社にとって未知の分野に参入するときに有効です。
【5つの脅威とは?】
・新規参入者による脅威
・サプライヤーの交渉力
・買い手の交渉力
・代替品による脅威
・既存の競合による脅威
思考や戦略の整理に使えるフレームワーク
マーケティングをするときは、具体的なターゲット像や戦略を打ち出します。このステップで手を抜いてしまうと、施策の効果が下がってしまうでしょう。
思考を整理し、より効果的なマーケティング戦略を打ち出すためのフレームワークを3つ紹介します。
【思考や戦略の整理に使えるフレームワーク】
・MECE
・ロジックツリー
・SMART
MECE
思考や戦略の整理に使える1つ目のフレームワークは、「MECE(ミーシー)」です。設定したターゲットや届ける情報が「漏れなく、ダブりなく」になっているかを確認するためのフレームワークです。漏れがあると機会損失を起こしかねませんし、ダブりがあると効率が落ちてしまいます。
例えば「副業エンジニア(を目指す人)向け」の、オウンドメディアを立ち上げるとしましょう。このとき、ターゲット像では次のようなことを設定します。
・年代
・性別
・現在の職業
・将来的な目標 など
「今は会社員として働いているけど、将来は独立したい」と考えている人もいれば、「スキルを身につけたらIT企業に転職し、その後も副業は続けていきたい」と考える人もいるでしょう。ここで見落としがちなのが、「今の会社(ITとは無関係の業界)のまま、副業で続けていきたい人」です。
下の図のように、年代や将来的な目標などをMECEでまとめていくと、漏れやダブりが起こりにくくなります。
ロジックツリー
思考や戦略の整理に使える2つ目のフレームワークは、「ロジックツリー」です。マインドマップのような図を使い、課題の原因や取るべき施策を深掘りしていくフレームワークです。
この図では「売上が低い」という課題を解決するためにすべきことを、大きな要素(抽象的なこと、現状の課題)から小さな要素(具体的なこと、課題解決のための施策)へと、深掘りしています。右側にいくほど具体的な内容や施策になるよう、ロジックツリーをつくってみましょう。
SMART
思考や戦略の整理に使える3つ目のフレームワークは、「SMART(スマート)」です。次の5つの頭文字を取った言葉で、これらの要素と施策や目標を照らし合わせます。
【SMARTとは?】
Specific:具体的か
Measurable:測定可能か
Achievable:達成可能か
Related:関連性はあるか
Time-bound:期限はあるか
5つの指標に照らし合わせることで、目標や施策の足りない部分が見えてきます。
顧客の理解や分析に役立つフレームワーク
マーケティングにおいて、自社がどんな顧客を抱えているのか、どのような顧客がより売上に貢献しているのかを知ることは重要です。自社や事業に顧客がついてきたら、彼らの特徴や自社との関係性を分析し、マーケティング施策の改善に活かしましょう。
【顧客の理解や分析に役立つフレームワーク】
・AIDMA、AISAS
・SIPS
・RFM分析
AIDMA・AISAS
顧客の理解や分析に役立つ1つ目のフレームワークは、「AIDMA(アイドマ)」と「AISAS(アイサス)」です。それぞれ認知から購買決定(共有)までのプロセスを考えるためのフレームワークで、AIDMAはマーケティング全般、AISASはWebマーケティングに特化して使えます。
【AIDMAとは?】
Attention(認知):商品やサービスを知らない人に、まずは知ってもらう
Interest(興味):認知してくれた人に、興味を持ってもらう
Desire(欲求):興味を持ってくれた人のニーズを喚起する
Memory(記憶):商品やサービスのことを覚えてもらう
Action(行動):商品を買ってもらったり、サービスに申し込んでもらったりする
【AISASとは?】
Attention(認知):自社を知らない人に、商品やサービスを知ってもらう
Interest(興味):認知してくれた人に、興味を持ってもらう
Search(検索):検索や比較をしてもらう
Action(行動):商品を買ってもらったり、サービスに申し込んでもらったりする
Share(共有):商品やサービスについてシェアしてもらい、認知を拡大する
SIPS
顧客の理解や分析に役立つ2つ目のフレームワークは、「SIPS(シップス)」です。特にSNSを使ったマーケティングに役立つフレームワークで、次の4つの流れで認知とファンを獲得していきます。
【SIPSとは?】
Sympathize(共感):自社や商品・サービスなどの「情報発信元」に対して共感してもらう
Identify(確認):共感した情報が有益であることを、オン/オフラインのネットワークで確認してもらう
Participate(参加):購入や契約を通し、コミュニティに参加してもらう
Share&Spread(共有と拡散):ブランドのファンとなり、その「良さ」をシェアしてもらう
RFM分析
顧客の理解や分析に役立つ3つ目のフレームワークは、「RFM分析」です。次の3つの要素を軸に、顧客行動を理解したり、顧客をランク分けしたりします。
【RFMとは?】
Recentry:最新の購買日
Frequency:購入や訪問の頻度
Monetary:購入金額の合計
施策の検証や改善に役立つフレームワーク
マーケティングはただ施策を打つのではなく、その効果を検証し、改善しながら進めていきます。マーケティング施策の効果検証や改善に役立つフレームワークを2つ紹介するので、ブラッシュアップのために活用してみてください。
【施策の検証や改善に役立つフレームワーク】
・PDCA
・KPT
PDCA
マーケティング施策の検証や改善に役立つ1つ目のフレームワークは、「PDCA」です。次の4つの単語の頭文字を取った言葉で、マーケティング以外にも、さまざまな領域で活用されています。
【PDCAとは?】
Plan:計画
Do:実行
Check:評価
Action:改善
「Plan→Do→Check→Action」のサイクルを繰り返し、施策をブラッシュアップしていきます。
KPT
マーケティング施策の検証や改善に役立つ2つ目のフレームワークは、「KPT」です。次の3つの単語の頭文字を取った言葉で、「継続すべきこと」と「改善すべきこと」を明らかにしながら、次に何をするのかを考えます。
【KPTとは?】
Keep(継続):効果のあった行動を継続する
Problem(問題):問題点を見つけ、何をやめるべきか、改善すべきかを考える
Try(挑戦):KeepとProblemを踏まえ、新しく取り組むことを決める
フレームワークを活用して、マーケティング戦略を改善し続けよう
マーケティングを成功させるには、フレームワークを活用し、思考や施策の問題点を整理しなければなりません。
まずは「市場の理解に役立つフレームワーク」を使い、市場と自社の関係性をハッキリさせましょう。そのうえで「思考や戦略の整理に使えるフレームワーク」で、具体的な戦略やターゲット像を考えます。
戦略を考えたら終わり、実施したら終わりではなく、「効果検証と分析を繰り返し、ブラッシュアップし続けること」が大切です。
ただ、いきなり大きな予算や人員を割いた、大掛かりなマーケティングができないときもあるでしょう。コストやリソースが足りない、リスクを抑えたいときは、先にテストマーケティングをするのがおすすめです。
テストマーケティングや資金調達のために、「クラウドファンディング」をするのもいいでしょう。クラウドファンディングとは商品やサービスをつくりたい「起案者」と、それを応援してくれる「支援者」をマッチングするサービスです。
支援者はただ応援をするのではなく、商品やサービスをつくるための資金を提供してくれます。「資金提供の見返りとして、これからつくる商品やサービスを提供する」という使い方もでき、テストマーケティングに最適です。
クラウドファンディングについて詳しく知りたい方には、こちらの記事がおすすめです。クラウドファンディングの概要や種類、メリット・デメリット、失敗しないための方法を伝えています。
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