メールマーケティングとは
メールマーケティングとは、メールを使ったあらゆるマーケティングのことです。メール配信を通してユーザーとコミュニケーションを取ることで、見込み客の購買確度を高めたり、顧客をロイヤルカスタマーに育成したりできます。
メルマガとの違い
メールマーケティングは、単なるメルマガ配信とは異なります。メルマガの目的は「ユーザーに情報を届けること」ですが、メールマーケティングの目的は「ユーザーとの関係性を変えること」です。次のようなメール配信を通して、ユーザーと自社の関係性をより良いものに変えていきます。
メールの内容 | 目的 |
メルマガ | 商品やサービスの必要性を知ってもらうために、顧客の知識レベルを高める |
お礼のメール | 購入や契約、問い合わせなどの顧客行動に対してお礼メールを送ることで、親近感を高める |
お知らせのメール | 不具合への対応状況やよくある質問など、顧客の安心感につながるメールを届け、解約率を下げる |
メールマーケティングが重要な理由
なぜ、SNSや動画が全盛期の時代に、今さらメールマーケティングをすべきなのでしょうか。それは、次のような事実があるからです。
・博報堂の「生活定点1992-2020」によると、メールアドレスを持っている人は79.0%(前回比+3.6)
・総務省の「令和2年版 情報通信白書」によると、インターネットの利用目的で最も多いのは電子メールの送受信
・ワールドワイド社(米)の調査によると、メールマーケティングのROIは他手法の4倍以上
社会の変化を考えても、メールマーケティングは現代に合った手法といえます。
ミニマリズムの浸透や価値観の多様化から、「信頼・共感ができる事業者の商品やサービスを選びたい」「本当に良いものを選び、長く使いたい」と考える人は増えています。このような人たちに自社を選んでもらうには「関係構築」が重要であり、それにはメールを使った密なコミュニケーションが有効です。
メールマーケティングのメリット
メールマーケティングには次のようなメリットがあります。
【メールマーケティングのメリット】
・コストが低く、費用対効果も高い
・開封率やクリック率などの集計、分析がしやすい
・顧客に合った情報を、適切なタイミングで届けられる など
「顧客の育成」や「関係構築」は、現代のマーケティングにおいて重要です。このプロセスを、コストを抑えて進められるのがメールマーケティングの魅力です。メールへの反応を詳しくチェックできること、ユーザーを属性ごとにグループ分けして配信できることから、施策の検証と改善もしやすいでしょう。
メールマーケティングのデメリット
メールマーケティングのメリットは「コストが低い」ことですが、「人的なリソース」はかかります。
メールマーケティングでは、自社の見込み客や顧客にどんな人がいるのかを分析し、それぞれに合ったコンテンツを作らなければなりません。「メールを配信して終わり」ではなく、配信後の反応を見て、グルーピングやコンテンツの内容、配信スケジュールを調整することも大切です。
メールマーケティングの目的と、送るべきメール
メールマーケティングは顧客の育成から販売・来店促進、お知らせまで、さまざまな目的に使えます。目的ごとにどんなメールを作り、どの数値を測定すべきか、ザッと把握しておきましょう。
目的 | メールの内容 | 測定すべき数値 |
見込み客やロイヤルカスタマーの育成 | 顧客セグメントに合ったコンテンツ | 開封率 |
商品の販売やサービスの契約 | 販促用のテキストや画像と、購入・契約ページへのリンク | 開封率・クリック率・CVR |
来店促進 | キャンペーンやセールのお知らせ、画面提示で使えるクーポン | 開封率・来店数 |
リテンション | 顧客セグメントに合ったコンテンツ、アンケートページへのリンク | 開封率・クリック率・アンケート回答数 |
お知らせや案内 | 伝えるべきことだけを、端的に記載する | 開封率・有効配信数 |
【4ステップ】メールマーケティングの進め方
効果的なメールマーケティングをするには、ターゲットを明確にし、それぞれに合ったメールを配信すべきです。次の流れを意識して、マーケティングの成果を少しずつ高めていきましょう。
【メールマーケティングの進め方】
STEP1.誰に、何を、なぜ配信するのかを決める
STEP2.ユーザビリティの高いメールを作る
STEP3.テスト配信をする
STEP4.効果を検証し、改善する
STEP1.誰に、何を、なぜ配信するのかを決める
メールマーケティングをはじめる前に、まずは「誰に、何を、なぜ配信するのか」をハッキリさせましょう。メールマーケティングは顧客とのコミュニケーションです。誰と、何のためにコミュニケーションを取るのかが曖昧では、高い効果は得られません。
次の表を参考に、メールを配信する相手と目的を考えてみましょう。
誰に | 何を | なぜ(目的) |
見込み客に | 相手にとって有益なコンテンツを | 育成のために配信する |
見込み客に | イベント開催のお知らせを | より深い関係構築のために配信する |
既存顧客に | 相手にとって有益なコンテンツを | リテンションのために配信する |
既存顧客に | 不具合への対応状況を | 解約率を下げるために配信する |
解約済みや休眠状態の顧客に | 新しい商品やサービスの案内を | 再契約のために配信する |
STEP2.ユーザビリティの高いメールを作る
メールマーケティングの相手と目的を定めたら、次は「ユーザビリティの高いメール」を作りましょう。ユーザビリティとは、相手にとっての使いやすさ、有用さのことです。
メールの作り方を間違えると、関係を構築するどころか、ユーザーに嫌がられてしまいます。次のようなことを意識して、ユーザーに不信感を与えないメールを作りましょう。
【ユーザビリティの高いメールとは?】
・件名が、メールの内容や読むメリットを端的に伝えている
・送信者名が、誰からのメールかすぐにわかるものになっている
・メール本文が読みやすく、必要なことを端的に伝えている
・ユーザーの起こすべき行動が、見つけやすい位置に端的に示されている
・連絡先やリンクが、購入や問い合わせなどの目的別に書かれている
・配信停止方法がわかりやすく示されていて、手続きをするページへのリンクがある
STEP3.テスト配信をする
ユーザビリティの高いメールが作れたら、自社や部署内の人に「テスト配信」をしてみましょう。誤字脱字やリンクの間違いがないか、作成したとおりのデザインで表示されるかを、複数の第三者にチェックしてもらいます。
PCやスマートフォンなど、どのデバイスでも同じように表示されるか、メールを開けないドメイン(メールアドレスの「@」以降の部分)がないかは要チェックです。
STEP4.効果を検証し、改善する
テスト配信で問題なければ、いよいよ実際のユーザーにメールを配信します。メールを配信したあとは、ユーザーの反応を見ながら効果を検証し、配信方法やメールの内容を改善しましょう。
次の表を参考に、数値の低い部分をチェックし、問題点を考えてみてください。
確認する数値 | 改善する箇所 |
開封率 | 件名 |
クリック率 | リンクのタイトル・メール全体のレイアウト |
CVR | リンク先のページ |
メールマーケティングのコストを下げるには?
メールマーケティングは低コストではじめられる手法ですが、コスト削減を考えなくていいわけではありません。かかるコストは主に3つで、それぞれ次のように削減できます。
コスト | コストの内容 | 削減の方法 |
配信コスト | メール配信にかかるコスト | メール配信システムの利用プランを見直す |
販促コスト | メール登録者を増やすためのコスト | オウンドメディアやSNSなどのコストがかからない方法で、メール登録への誘導を増やす |
運用コスト | メールの作成や分析にかかるコスト | ツールを使ったりナレッジを蓄積したりする |
メールマーケティングで使われる用語・指標
マーケティングで使われるメールにはいくつかの種類があり、分析や改善のために集計すべき指標もたくさんあります。少ないリソースでマーケティングを行い、高い成果を出すために、メールの種類や集計すべき指標をチェックしておきましょう。
【メールマーケティングの手法】
手法 | 内容 | 効果や目的 |
メルマガ | 登録ユーザーに対して、ブログのようなコンテンツを一斉配信する | 見込み客の獲得、育成 |
ステップメール | ユーザー育成のために、段階的にコンテンツを配信する | 見込み客やロイヤルカスタマーの育成 |
リターゲティングメール | ユーザー行動に基づき、適切にアプローチできるメールを自動配信する | 客単価アップ、販促 |
休眠発掘メール | 興味付けはできたものの契約にいたらなかった休眠顧客に、再アプローチするためのメール | 新規獲得よりも少ないリソースで売上アップを狙える |
【メールの種類】
HTMLメール | テキストの色や大きさを指定したり、画像や動画を入れたりできる |
テキストメール | HTMLメールより簡単に作れるが、テキストしか入れられない |
レスポンシブメール | 1つのHTMLソースで、PCやスマートフォンなど、デバイスごとに最適なレイアウトでメールを表示できる |
【関連用語や測るべき数値】
用語や指標 | 用語の意味 | 指標の計算式・設定例 |
開封率 | メール配信数に対する開封数の割合 | 開封数/配信数×100 |
クリック率 | メール内のリンクがクリックされた割合 | クリック数/配信数×100 |
CVR | 問い合わせや申し込みなど、メールごとに設定した目的の達成割合 | CV数/配信数×100、CV数/CVページへのアクセス数×100 |
KGI | 企業全体で達成すべき、最も重要な数値目標 | 例)売上、利益 |
KPI | KGI達成のための中間目標 | 例)メールの開封率やCVR、客単価 |
メールマーケティングで、顧客と良好な関係を築こう
ミニマリズムの浸透や価値観の多様化により、「ユーザーと事業者の関係性」がますます重要になりました。ブランドや事業者のネームバリューよりも、「ブランドの発信する価値観に共感できるか」「その事業者の理念に共感できるか、信頼できるか」を重視するユーザーが増えています。
このような変化に対して、メールマーケティングは有効な手法です。メールはオウンドメディアと比べてユーザーとの関係構築に適していています。SNSに比べてより濃密な情報を、ユーザーの属性に合わせて配信できます。
メルマガだけでなく、ステップメールやリターゲティングメールを活用して、「ロイヤルカスタマーの育成」や「客単価アップ」を目指しましょう。見込み客獲得にかかるリソースを削減するには、すでにある程度の関係性ができあがっている休眠顧客への「発掘メール」が有効です。
コメント