リストマーケティングとは?
リストマーケティングとは、自社の顧客リストや、まだ顧客ではないが問い合わせや見積もりなどの接点がある「見込み客」のリストを使ったマーケティングのことです。
新規で見込み客を探すよりも、既存の顧客や見込み客にアプローチをする方が効果的であることが多いです。新規獲得と並行し、リストマーケティングを行う企業が増えています。
リストマーケティングのメリット
リストマーケティングは新規獲得よりも少ない労力で、より多くの売上が期待できる手法です。リストマーケティングには次のようなメリットがあるからです。
【リストマーケティングのメリット】
・集客に工数がかからない
・相手の情報やニーズがある程度わかっている
・マーケティングを自動化しやすい
リストには顧客の年齢や職業、連絡先などの基本情報が登録されています。「30代女性」「営業職」などの属性で見込み客を抽出できるので、プロダクトに合ったターゲットに、効率的にアプローチできるでしょう。接点履歴や過去の問い合わせ内容が残っているなら、相手のニーズもある程度わかるはずです。
リストを活用したマーケティングの自動化もしやすいです。属性やニーズで顧客を分類し、それぞれに合ったステップメールを自動で配信すれば、アプローチと育成を同時に進められます。
リストマーケティングのデメリット
リストマーケティングは新規で見込み客を探すよりも、見込度の高い相手に効率的にアプローチできる手法です。ただ、膨大な顧客情報の中から、アプローチできそうなリストを作るのにはそれなりの手間がかかります。リストの管理やブラッシュアップをするための、定型業務が増えることもあるでしょう。
リストの作成やアプローチが、すぐに成約に結び付くとも限りません。特に見込み客リストは「何らかの理由で一度断っている人のリスト」です。これまでの対応によっては、新規よりも反応が悪いこともあるでしょう。
【5ステップ】リストマーケティングの流れ
リストマーケティングは基本情報やニーズのある程度わかった既存顧客・見込み客にアプローチできる、効率的な手法です。
しかし、ただ闇雲にアプローチをするのでは、せっかくのリストを使いつぶしてしまうことになるでしょう。アプローチがしつこいと感じられてしまえば、自社の印象が悪くなり、そのリストは使い物にならなくなります。
そうならないために、リストマーケティングでも新規獲得と同じように、「見込み客の育成」や「適切なタイミングでのアプローチ」を心がけましょう。次の流れでアプローチを進めていけば、スムーズなリストマーケティングができるはずです。
【リストマーケティングの流れ】
STEP1.リスト作成
STEP2.集客
STEP3.育成
STEP4.アプローチ・販売
STEP5.分析と改善
STEP1.リスト作成
マーケティングを始める前に、アプローチする顧客を一覧にしたリストを作りましょう。リストマーケティングも新規営業も、リストがないことには始まりません。
まずは売りたい商品やサービスがどのようなものかを見つめなおし、ターゲット像をイメージします。性別や年齢などの基本属性から、ターゲットになりそうな人を抽出しましょう。ここではCRM(顧客との関係性や基本情報を管理するツール)が役立ちます。
ターゲット像に合った人たちをリスト化できたら、一人ひとりの情報をざっと確認し、見込み度合いでランク分けしましょう。接点履歴や過去の問い合わせ内容を確認し、どんなニーズを抱えているのか、前回はなぜ契約にいたらなかったのかも考えます。
STEP2.集客
リストを作ったら、そのままアプローチを始めるのもいいですが、その前に一度「集客」をしてみるといいでしょう。メールでアンケートや案内を配信し、反応のあった人を「見込み度の高いグループ」に移します。
メルマガ登録を促したり、自社のオウンドメディアへ誘導したりすることで、次のステップである「育成」もしやすくなるでしょう。
STEP3.育成
リストを作ったからといって、いきなり購入や契約を迫ってはいけません。そんなことをしては、「売りたいときにだけ声をかけてくる、自分本位な会社だ」と、悪いイメージを持たれてしまいます。何より、相手に必要性を感じてもらえなければ、商品やサービスを買ってもらうことはできないでしょう。
リストマーケティングでも、新規の見込み客と同じように「育成」をしなければなりません。メルマガやオウンドメディアを通して見込み客の知識レベルを高め、商品やサービスの必要性に気付いてもらうのです。
「結局、新規獲得とやることが変わらないのか」と思うかもしれませんが、一度は購入や問い合わせをしてくれたということは、それなりの興味は持っているということです。いきなり購入してもらうのは難しくとも、自社の発信する情報に目を通してもらえる確率は高いです。
STEP4.アプローチ・販売
見込み客の育成と並行してすべきなのが、「スコアリング」です。問い合わせやメルマガ登録などのユーザー行動に点数を付け、見込み客それぞれが取った行動をもとに見込み度をスコアリングします。見込み客はスコアによってランク分けし、それぞれのランクにあったステップメールを配信しましょう。
こうすることで、育成とアプローチを同時に、効率よく進められます。ランクの上がり切った見込み客には個別の案内メールやテレアポなどを使い、販売や商談に向けたアプローチをかけましょう。
STEP5.分析と改善
リストマーケティングが上手くいってもいかなくても、分析と改善を続けましょう。失敗したならその原因を探し、改善策を考えます。成功事例も蓄積し、再現性を高めるために分析すべきです。
リストを集める方法
リストマーケティングで最も重要なのは、「良質なリスト」を用意することです。ターゲット像に近い見込み客を抽出し、それぞれの状況にあったアプローチをするための情報が載っているリストが、良質なリストといえます。
アプローチ用のリストは既存の顧客・見込み客リストから抽出して作りますが、それだけでは不十分です。より的確なアプローチをするために、次のような方法で見込み客の情報を集めましょう。
【リストを集める方法一例】
・顧客アンケート
・イベントやセミナー
・会員、メルマガ登録 など
顧客アンケートは欲しい情報をピンポイントで集められる有効な手段です。イベントやセミナーで顧客と直接やりとりすればさまざまなことが聞けるでしょうし、その場でアンケートに答えてもらえることもあるでしょう。
無料サービスの会員登録やメルマガ登録を通して、基本情報を集めることもできます。これらを通して見込み客を育成したり、信頼関係を構築してアンケートに答えてもらったりもできるでしょう。
リストマーケティングに役立つツール
リストマーケティングには次のようなツールが不可欠です。特にCRMは条件を指定して顧客や見込み客を抽出したり、一人ひとりの接点履歴を確認するのに役立ちます。
MAもステップメールの自動配信や見込み客のスコアリングなどに欠かせません。
CRM | 顧客の基本情報や接点履歴などを保存・閲覧できるツール。顧客との関係構築に役立つ機能が充実している |
SFA | メール配信やスケジュール管理など、営業担当者をサポートする機能が充実している。CRMの機能を兼ね備えたものも多い |
MA | マーケティングオートメーションの略称で、ステップメールの配信や見込み客のランク付けなどを自動化できる |
リストはこまめに手入れして、マーケティングを効率化しよう
マーケティングの世界には「1:5の法則」というものがあります。「新規顧客から利益を上げるには、既存顧客から同じ利益を上げるのと比べて5倍の労力がかかる」という法則です。
この法則に当てはめると、リストマーケティングは新規獲得の5分の1の労力で利益を上げられる方法といえます。実際に5分の1の労力で利益を上げることはできないかもしれませんが、ゼロから集客するより効率的なことはたしかです。
しかし、それにはリストをこまめに手入れし、使いやすい状態にしておくことが欠かせません。リストの手入れは顧客や見込客が増えるほど大変になります。リストの情報が少ないうちに、少しずつ手を入れ、使いやすい状態を保ちましょう。
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