個人の面白いアイデアを現実にする、クラウドファンディング
ビジネスに必要な資金を調達する方法のひとつとして、「クラウドファンディング」が注目されるようになりました。
クラウドファンディングは「面白い商品を思いついたけど、開発費が足りない」「こんなサービスをつくったら世の中はもっと良くなりそうだけど、資金不足で今は実行に移せない」といったときに有効な方法です。
せっかくのアイデアを断念するのはもったいないですし、他者に先を越されるリスクもあります。そんなときはクラウドファンディングで、そのアイデアを応援してくれる支援者を募り、彼らから資金を提供してもらうのもいいかもしれません。
ところで、クラウドファンディングは、何も企業や個人事業主だけのものではありません。
「素晴らしい女優の卵を見つけたから、彼女主演の映画をつくって応援したい!」「開業届を出すほどではないけど、このアイデアってお金になるんじゃ?」と思った個人が、個人のまま(開業や起業をせずに)資金を集め、ちょっとしたビジネスを起こすこともできます。
個人におすすめなのは”購入型・寄付型クラウドファンディング”
クラウドファンディングにはいくつかの種類があり、個人には「購入型」「寄付型」がおすすめです。これらは個人のままでもプロジェクトを立ち上げられるうえ、「個人である」ことを活かして資金を集められるものだからです。
【購入型クラウドファンディングとは?】
商品やサービスをつくるための資金を個人の支援者から広く集める方法で、支援者には見返りとして、つくる予定の商品やサービスそのものを提供します。ちょっと変わったインターネット通販のようなもの、とイメージするとわかりやすいでしょう。
【寄付型クラウドファンディングとは?】
「子どもの治療費を集めたい」「困っている人を助けるための取り組みをしたい」といった”社会的意義のある取り組み”に必要な資金を集めるクラウドファンディングです。
購入型との違いは、商品やサービスといった経済的価値のある見返りがないことです。支援者には「活動報告」「主催者のWebサイトに名前を掲載する」といった、”経済的価値はないが、精神的な満足感のある見返り”を提供します。
寄付型には自治体やNPO法人などでなければ開けないものもありますが、個人でできるものもあります。
個人がクラウドファンディングをするメリット
個人がクラウドファンディングをすることには、次のようなメリットがあります。
【個人がクラウドファンディングをするメリット】
・アイデアを実現する資金を集められる
・支援者を募る活動を通じて、プロジェクトをより多くの人に知ってもらえる
・プロジェクトを応援してくれる支援者やファンをつくれる
一般的な方法では、個人の集められる資金には限界があるでしょう。貯金では時間がかかりますし、ビジネスでない以上、金融機関からの融資も難しいです。
しかし、クラウドファンディングなら、個人では到底不可能な額を集めることもできます。資金を集めるためには、そのプロジェクトを応援してくれる人を募らなくてはなりませんが、その過程であたたかい応援や自分たちのファンもつくれるでしょう。
ファンづくりはマーケティングにおいても大切です。しかしそれ以上に、挫けそうになったときに心を奮い立たせてくれるのは、ファンや応援してくれる人の存在なはずです。
個人がクラウドファンディングをするデメリット
クラウドファンディングは資金集めにも、マーケティングやファンづくりにも有効です。しかし、プロジェクトにお金まで出してくれる人を集めるのは大変です。次のようなデメリット、大変さがあることは、覚悟しておきましょう。
【個人がクラウドファンディングをするデメリット】
・マーケティングやブランディングなど、それなりの知識が要求される
・調べたり考えたり、戦略を実行したりと、時間と労力がかかる
・かけた労力が水の泡になったり、プロジェクト実行で赤字になったりすることも
個人がクラウドファンディングを成功させるコツ
クラウドファンディングを成功させれば、個人でも企業のような大きなプロジェクトを動かせます。突拍子もない個人のアイデアが、クラウドファンディングにより現実になることも多いです。
ただ、クラウドファンディングは夢のある方法ではあるものの、それなりに難しいです。次の3つのコツを意識して、真剣に取り組みましょう。
【個人がクラウドファンディングを成功させる3つのコツ】
・魅力的なお礼を考える
・プロジェクトへの想いを伝える
・プロジェクト外でも支援者を募る
魅力的なお礼を考える
個人がクラウドファンディングを成功させる1つ目のコツは、「魅力的なお礼を考える」ことです。クラウドファンディングではプロジェクトを応援してくれる支援者から、必要な資金を募ります。しかし、何の見返りもなしにお金を出してくれる人は少ないです。
プロジェクトを思わず応援したくなるような、魅力的なお礼を考えましょう。商品やサービスをつくりたいなら、つくる予定のモノをそのまま見返りにするのが一般的です。
映画製作のような、カタチある商品や具体的なサービスのないものなら、「ちょっとした役として出演できる」「役者とコミュニケーションできる」といった”体験型の見返り”を提供するのもいいかもしれません。
プロジェクトへの想いを伝える
個人がクラウドファンディングを成功させる2つ目のコツは、「プロジェクトへの想いを伝える」ことです。クラウドファンディングは「ちょっと変わったインターネット通販」のように見えるかもしれませんが、その根底にあるのは、「がんばる人を応援したい」という気持ちです。
プロジェクトを見た人の心を動かせるよう、自分の想いを言葉にして、プロジェクトページに掲載しましょう。プロジェクトを立ち上げた経緯や、そのプロジェクトで世の中をどう変えたいかなど、支援者に向けて心の内を打ち明けるのです。
プロジェクト外でも支援者を募る
個人がクラウドファンディングを成功させる3つ目のコツは、「プロジェクト外でも支援者を募る」ことです。
クラウドファンディングサイトだけでプロモーションをしていても、見てくれる人は限られます。インターネットを使ったほかの手段で、ときにリアルで、支援者を探すことも大切です。
例えばプロジェクトについて発信するSNSアカウントを作り、そこで日々、どんな活動をしているのかを伝えていきましょう。興味を持ってくれた人と通話してみたり、会って話してみたりするのも、想いを伝えるうえでは有効です。
ほかにも街中でチラシを配ったり、友人・知人に宣伝してもらったりと、できることはたくさんあります。
個人であることを活かして、クラウドファンディングを成功させよう
「個の時代」という言葉が登場して久しいですが、個人としてできることは、年々増え続けています。フリーランスのような「個として働く人」が登場したのはもはや大昔のことで、今では個人がクラウドファンディングを使って、企業のようなプロジェクトを動かしています。
クラウドファンディングを成功させるには、個人であることを弱点として考えるのではなく、活かす方向性で考えましょう。「泥臭さ」や「利益度外視でもやり遂げたい気持ち」などの要素は、企業にとっては出したくてもなかなか出せない要素です。
ただ、クラウドファンディングに支援したことのある人は多くても、プロジェクトを立ち上げたことのある人は少ないでしょう。プロモーションやマーケティングの経験などなく、やりたいことはあっても、何から手をつけていいかわからない人がほとんどなはずです。
そんなときは、クラウドファンディングサイトに問い合わせ、まずは相談に乗ってもらいましょう。ほとんどのクラウドファンディングサイトでは、プロモーションの進め方やプロジェクトページの作り方などについて、具体的なアドバイスをしてくれます。
1人でも悶々と考えるより、その道のプロに聞いてしまったほうが早いはず。まずは動いてみて、アドバイスをもらいながら、軌道修正していけばいいのです。
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